新酒番船入津繁栄図シンシュバンブネニュウシンハンエイノズ
江戸時代の年中行事である「新酒番船」の情景を描いた錦絵。新酒番船は、西宮・大坂の樽廻船問屋が仕建てた船に、その年の新酒を積み込み、同時に出帆して江戸への到着の順位を競った行事である。錦絵の舞台は下り酒問屋が集まる新川付近で、新酒番船が江戸に入津した後の賑わいが描写されている。画面のあちこちにみられる赤いはっぴを着た集団は、一番に到着した船の乗組員で、赤字で「惣一番」と書かれた幟を持ち、太鼓を叩きながら練り回る様子、集まって踊るような仕草に、優勝の喜びがうかがえる。左下隅の枠内には、一番船の入津日[寅=慶応2年(1866)3月28日]と時刻(巳之上刻=午前9時頃)、船を仕立てた西宮の樽廻船問屋(藤田)、その船を操った船頭の名前(勝六)が記されている。なお、本資料は文久3年(1863)の新酒番船を描いた図の異本と考えられる。図中の三本の赤い幟には、文久3年の結果(一番枡屋松三郎、二番藤田保蔵、三番西田重蔵)が薄く残っている。
DATA
資料番号 | 282040200000264 |
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作成者 | 一蕙斎芳幾(落合芳幾) |
制作年月日 | 慶応2年 |
資料群名 | |
文化財指定 | |
資料の形状 | 大判六枚続 |
所蔵機関 | 郷土資料館 |
更新日 | 2020年07月31日 |